古いフレンチ(?)チェロが工房にやってきてこれをレストアすることに。この楽器、一番面倒なのが塗装の修復でご覧ように表面にプチプチの跡が至る所についてしまっている。どうもすごい柔らかい透明なニスで表面を塗ってあってクラック(亀裂)至る所に奇麗に出ている。ヘタにプチプチ跡を取っちゃうとクラックまで不自然に取ってしまうので注意深く対応しなければ行けない。
プチプチの跡は結構深いので適度にニスを塗り重ねて跡を消しながら徐々に跡を埋めていくことになりそうだ。まずはパッドを当てながら表面を研磨シートで磨きニスを塗り重ねる準備をしてみました。根気と時間のかかる作業になりそうです。
チェロのネックほぞ加工用にオーダーして作ってもらったノミが届きました。新潟県三条市の鍛冶、田齋さんにお願いしました。田齋さんの作品は弦楽器製作者なら見たことのある人も多いはずで、ぼくら御用達のドイツの道具屋DICTUMのカタログの表紙を飾ってい墨流しのノミを製作をした鍛冶屋さんです。2年前に川越であった削ろう会で知り合ってこういうのが欲しいという話をした所実施してくれました。
ネックのほぞはいわゆるダブテール型で底面を平坦に出すのが重要なので鏝(こて)ノミという種類のものです。底面の平坦さを維持しながら一番奥のカドもしっかり切れるようにノミ本体は台形です。底面と側面が鋭角になるのですが、そこもノミで切れるようノミの脇は適度な角度を付けて頂きました。
マンガチックな図面を用意したにもかかわらず田齋さんには意図をしっかり汲んで頂いてたいへん嬉しいです。これが僕の初めてのmy orderノミになりますが、楽器をオーダーしてくれるお客さんが楽器を受け取った気の気持ちがわかったような気がします。