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ヴァイオリン工房は不思議の部屋 ★camera delle meraviglie★

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今回のクレモナ・ヴァイオリン製作コンクール 感想

今年は3年に一度のクレモナ、A.ストラディウ゛ァリ国際ヴァイオリン製作コンクールの年でその参加楽器の展示もMondomusica期間中に拝見に行きました。とは言っても時間がなくおよそ2時間の中で300台以上もの楽器をじっくり見て回るのは不可能で上位入賞者と知っている製作者の楽器を探して見て回って終わってしまいました。なのでそれほどじっくり見ていません。いや〜じっくりちゃんと見て回ったら1日かかってしまいます(それ以上に発狂してしまいます)。

一番話題をさらっていたのは1位になったヴァイオリンの楽器でした。私が見る前に大方の製作家達(参加した人も、ただ見ただけの人も)はどうしてこの楽器が?という言葉を口にしていたので果たしてどんな楽器かと思って会場に足を運んだのですが、確かにぼくも見てびっくり。この楽器が受賞ですか〜!?と言うのが第一印象です。一言で言えば、換骨奪胎、か、アヴァンギャルドといえるかな?外観的なデザインはクレモナあるいはイタリア的なデザインセンスから言わせればまったく外れていて技術的な細部についてもそれほどレベルが高いとは思えずどのような点が評価されてこうなったのかおそらく多くの方は疑問を持ったに違いないです。しかしながら、もし僕がこの楽器を評価するとすれば(音は抜きとして)作者(フィンランド人)のデザイン的意図は見て取れて北欧的な雰囲気というか仕上げ感、ユニークさがあったように思えます。その点が審査員に評価されたとすればうなずける気もしますが、え、これでもいいの?というのがやはり正直な感想です。そう思うといかにもイタリアンな、というかクレモネーゼな楽器は今回は上位入賞には少なかったように思います。これからは個人の特徴を持たせたパーソナルモデルな楽器の時代かもしれません。そう思うとちょっと反省し、励まされたようにも思います。

他にも印象に残る楽器もありましたが細かい点は抜きに気になった点について。ヴァイオリンについては300台以上(多分)あった中でガット弦を張ってある楽器は2台だけでした(僕が見たところ)。その他は全部スチールもしくは化学繊維の弦で上位にいる楽器は数種類の弦に限定されます。Pirastro社のEvahPrazzi、Obrigato、Tomastik社のVisionなど。そしてヴィオラについては上位入賞のほぼ90%がEvahPrazziを張ってある楽器でありこれほどまでに弦の「トレンド」の影響があるのかと思った次第です。
この結果は演奏者審査員の好みにもよるかもしれません。実際楽器はそれを演奏者が持って、見て、弾いてみて、音を出してみた感じをもって自分に合うかどうかを判断する訳で演奏してみたときの感想は異なるでしょう。まして弦は音の「発信源(ジェネレータ)」でありそれが別種のものであればまったく異なる音の特徴になります。そう思うとコンクールに提出して賞を取った楽器が万人に良い楽器であるはずはないとおもいます。もしかして音の評価については楽器自身よりも弦の特徴が評価されたのかも?と言い切れなくもないと僕は思います。本当にユーザフレンドリを意識した楽器を演奏家に提供できるかどうかはコンクールでは評価されない楽器に対する姿勢や考え方、コントロールできる技術が大切なのではと思った次第です。道は長いなぁ。

コンクールは所詮コンクール。すべてではない、されどコンクール。
舌足らずですがこのくらいで。
# by shinop_milano | 2009-10-05 21:41 | 楽器製作

2009 Mondomusicaの感想

今年のクレモナMondomusica(ヴァイオリン関係の見本市)が先週末10/2-4にありました。今年は何となく周りの人の様子から、春先のフランクフルト、パリでの展示会の様子から推測するにあまりふるわないのではと当初から予想していたけどその通り。
基本的に一般の人も期間中どの日にも入場できるのですが初日金曜日はウィークデイなので実質的には業界関係者のトレーディングの日になっています。展示ブースも若干減りヴィジターの数も減っていた様に思えます。なによりもあまり活発なトレーディングが見て取れなかったのはやはり景気が悪いのでなと思えた次第です。そうはいっても目新しいブースが新規に参加していたり名前が変わって出展していたりと業界での情報を集めるには大変有意義な展示会であると思います。
既にウマくまわっている製作かやディーラさんなどはもうわざわざ展示会に足を運ばずにもビジネスが成り立っているようで「出会いの場をもとめる展示会」の場は一段落したように思います。グローバリゼーションに伴うヨーロッパとその他の市場(アジアとか南米)をつなぐ役目はすでに陰に薄くそれぞれが「売りやすいもの」(具体的に言うと比較的廉価な楽器や本、カタログなど流動性の高いもの)ならべて新商品のアピールと工房、会社の広告をなしている様に思えます。

私個人としては常に工房にこもりがちで忙しくあまりコンタクトも取らない(いや、取れないというべきか)人たちにあって「最近どうしている?」と挨拶して業界の様子を聞いたり刺激をもらったりしてソフトウェアな点で“仕入れ”をしていたと言うのが今年でした。
そして今年は目出たいことに(?)初めて自分の楽器を展示させてもらったのでした!8、9月とピッチノッティ氏の工房でお手伝いをさせてもらいそのご褒美に彼から僕の楽器をブースに置いても良いよと言われたので私のヴィオラを2台展示代に載せさせてもらいました。カメラを持って行かなかったので写真に撮らなかったのがちょっと悔やまれます。

ということで色々あったような無かったようなと言うのが今年の感想です。なんか隣の学校の文化祭を見に行ったような、そんな感じでした。
# by shinop_milano | 2009-10-05 21:13 | ミラノ生活

Liutaioの仕事を誉めてくれるのは誰か

詳伝社黄金文庫より出ている松浦昭次著『宮大工千年の「手と技」』を読み返していて、ああ、と唸らされる一文を再認識して投稿。同書の”宮大工の仕事を誉めてくれるのは誰か”より引用します。

宮大工と言うと、何かイメージがいいように思っている若い人もいるようですが、宮大工という仕事は派手なものではありません。むしろ、地味なものです。とくに私らのように文化財の保存修理を専門にしていると、自分ではいい仕事をしたと思っても、それを誉めてくれる人はそんなにいないと思ったほうがいいでしょう。
誉めてくれるのは、百年か二百年たって、次に保存修理をする時に、私らの仕事の様子を見る大工ぐらいのものです。だから、自己満足と言えば、自己満足。仕事がうまくいったかどうかの基準は世間の評判でほなくて、何百年も前の素晴らしい大工の腕に、自分がどこまで近づけたかということしかありません。少なくとも、それぐらいに思っていたはうが間違いがないと思います。


宮大工を楽器職人と比較したら正直なところ失礼も甚だしいですがこの松浦棟梁の意見は楽器作りにも当てはまるところが大きく納得してしまいます。今となっては文化財の寺社よりヴァイオリンの方が我々の身近であるかもしれませんし、楽器は有り難くもいい音がすれば演奏家が誉めてくれる分楽器職人の方が幸せであるかもしれません。木工の技術については求められる精度も質もちがうので(その点では宮大工さんに楽器職人は叶わないとおもう)ちょっと違うかもしれないがその仕事の”モノ”の良さ(音ではなく)を理解してくれるのは同業者だというのは同感です(特に修理したとき)。そしてその成果が自己満足であると言うのも事実かなと思います。
確かにモノ作りにおいて作品がどのようにそれがすばらしいのか、他と違うのか、どうあるべきなのかということはいろいろ見て触って比べてみないと一般的にはわからないと思います。ですから自分でモノの善し悪しを評価するには目を養わないといけないことになるでしょう。
この本において著者は行ってきた仕事の概要や使う道具、建築の様式、数学的な知識まで宮大工の概要を書いています。こうすることで彼らの仕事について”誉めてくれる”のが宮大工以外にも増えその建築/修復に対する認識を高めたいのではといういとが伺えます。ひいてはそれが彼らの、いや我々の文化を守るため、彼らの明日のオマンマを守るためと言うことになるでしょう。
楽器製作業界はそういう点をアピールする人が少なく、どうも一般の方達に我々がどこでどれだけ何をしているのかがよく理解してもらっていないように思えます。結構たくさんあるんですよ、本当は。そう思うとこれからは本業ではないにしても努力しなくてはいけないところかなと思います。

図らずも、読書感想文になったかな?
# by shinop_milano | 2009-09-15 19:03 | 楽器製作

ああ、滞在許可証

2年前、2007年の5月に提出した滞在許可証の更新申請は約その1年後にConvocazione(呼び出し)があり所轄の警察署で2008年7月に指紋押捺と写真の提出に応じた。「ヴァカンス空けの9月にできていると思うからやってきて」と言われ(警察署でもヴァカンスがあるってどういうこっちゃんねんとは思うけど)その通りに馳せ参じると「あなたの場合は12月頃になるわね」と、担当の婦警の方。ともかく「できたら連絡があるから」と言われ待つことさらに1年、申請状況をwebで確認できるので進展がないかと見守りながらもこれはおかしいと所轄の警察署に行ってみた。待たされること数時間(厳密にいうと前日に問い合わせに行って待たされているので2日がかりである)、帰ってきた回答は既に更新された滞在許可証はできていて今年2月に期限切れということだ。なに〜!?逆に「なんで今頃来るんだい!」とおしかりを受けた。それはこっちが言いたいよ。
結局なんでこういう事態になったのか、そして改めて更新を申請する為に一筆書いてもう一回やってこいとのこと。まあこっちは滞在許可証がもらえればそれで言い訳で彼女とけんかするのが目的ではない(けんかするのは目的を達成するためである)。ということでこんな作文までした。
ああ、滞在許可証_d0079867_23184487.jpg

さすがに5年もいるとこの手の書類も書くことはある。が、言いたいことが通れば良い程度のレターだけど体裁もそろえつつ書くとなると2時間くらいはかかる(ああ、面倒くさい)。滞在許可証が発行されるまでの間に幸いにも(?)事故で入院していたからこれも一つの理由になった。まあ、私、担当の婦警いずれもお互いにどうでも良いことのような対応である。だって有名な「滞在許可証の更新申請の領収書」でイタリア国内にいる分には問題ないんだもの!
そんなこんなで彼女は手紙を一読しちょっと僕を待たされると新規作成した2ページのレターを私にわたし「すぐにこれで滞在許可証の更新をして」とのことである。そのレターとは既に更新され今年2月で期限の切れた滞在許可証の「コピー」とこの理由の為警察署で預かっているからこの手紙をもって代わりとすると書かれた一文だけである。これでいいのかい?
もっとも外国人に関する観念が日本とは違うからこれで良いのだろうけどいまだに振り回されています。結局更新の申請をしてしまいまた「領収書」が郵便局でもらえると国内では天下無敵の滞在許可証と事実上同義になる。すごいシステムだと思いません?

以上、先週火曜日のことでした。
# by shinop_milano | 2009-09-13 23:44 | ミラノ生活

グァダニーニモデルのヴィオラ完成!!

G.B. Guadagniniモデルのヴィオラが完成しました。
グァダニーニモデルのヴィオラ完成!!_d0079867_2131120.jpg

本体の長さは39.7cmです。いわゆる、「小さいヴィオラ」です。(どこでも同じ事ですが)ぼくの周りのヴィオラ弾きたちは「小さいヴィオラで良いのがあったらほしいのだけど・・・」などとのたまうのでご希望に合うようなヴィオラを作ろうと思い立った訳です。しかしながらだいたいのヴィオラ弾きたちは反実仮想的にこのようにおっしゃる(つまり、小さくていいヴィオラはなかなか見つからない)ので勇気をもって作ってみてもヴィオラ弾きのお気に召さない可能性は高いと。いや〜、自分自身小さくて良く鳴るヴィオラがあったらほしいです。だって、弾くの楽だもん。
という訳で選んだのがGuadagniniモデル。本体は400mm弱にもかかわらず弦長は372mmに設定できるんです。弦メーカはヴィオラについて370mmくらいの弦長を想定して弦を開発しているので本体は小さいながらも十分な弦の振幅が期待できるという訳です。だからヴァイオリンと形を比較するとf孔の位置や駒の位置のバランスがスマートに見えないと思います(それは覚悟の上)。でも、この位置に駒が来ると弓のミーティング・ポイント(弓がフォルテで音を出せる位置)が演奏者の体に近くなるので弓のコントロールもし易い、特にヴァイオリンを弾く人には。自分はこれより大きいヴィオラを通常使っているので試し弾きで良い音が出るポイントがいつもと違っていて意識して弾く位置をコントロールしましたが、明らかに本体420mmくらいのヴィオラよりは弾くのが楽です。
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裏板にはヴァイオリン用に取っておいた1枚板の奇麗なカエデの材料がギリギリこのヴィオラ用に足りたので慎重に気取りをしてこんな感じになりました。あと1mm横幅が必要だったらウィング(木の付け足し)ををつけるところでした。
グァダニーニモデルのヴィオラ完成!!_d0079867_2441922.jpg

渦巻きはオリジナルの大きさを考慮して作ったのですがこのサイズの楽器にしてはちょっと大きいかな。。。Guadagniniはその点を考慮し渦巻きのモデルは用意しなかったのかも?ダイナミックな感じがするからいいけど、今度作るときはちょっと縮小しようかな、と。

そんな感じで今日は半日色々セッティングをかえて弾いてみました。バランスも取れているし低音もちゃんと出ている。特にG線、D線がふくよかに鳴ってくれて弾き応え感があります。このモデルの選択は間違っていなかったと確信しています。次のヴィオラもこれで行こうかと思います。
# by shinop_milano | 2009-09-12 20:00 | 楽器製作

「ミラノ的ヴァイオリン製作の部屋」改め。埼玉に活動の場を移したヴァイオリン屋の徒然日記


by shinop
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