最近の仕事より2013/06/013
楽器の鳴りもコンディションも具合が悪くなりやすい時期ですので楽器の管理にはみなさん気をつけましょう。
イタリアでバックマンの倉庫からミラノに戻る時にミラノの学校の時の先生だったルカ・プリモンを訪ねました。最近は人気、実力ともにファンを増やしバックオーダーを常に抱えている彼ですが、そんな彼が最近作り方を変えたと聞きました。それは、Cassa chiusa(カッサ・キゥーザ)。つまり、先に楽器の箱を完成させてからパーフリングを入れて仕上げると言う方法です。これまでは学校で教わっていたように完全に表板、裏板をパーフリングを入れた状態で仕上げて最後に箱を閉じるCassa aperta(カッサ アペルタ)の手順で作っていたのを特別な楽器をつくる為に諦めて手法をかえたら思いのほか良い結果がえられたとのこと。理屈をきくと僕も納得なので早速製作中のチェロで実施してみようか、ということで実践しています。この場合、表板、裏板を横板に仮止めするのにピン留めするため上下の中心に穴を空けます。只今、およそのアーチングを作ったところなのでこれから中をくりぬく所です。
プリモンからはご丁寧にお土産もいただきまして、これは彼の自家製のバルサミコ酢。なんと、モデナの僕の師匠フリニャーニから作り方を教わって自宅の天井で熟成させているとのこと。すでに5年目熟成で現在はオークの樽で寝かせているらしい。味見をしてみたらもう結構いい風味を出していてスーパーで売っているそれとは全然違います。
それにしても彼の好奇心の豊かさには驚かされます。良い刺激をもらってきました。