ヴァイオリン工房は不思議の部屋 ★camera delle meraviglie★

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バディアロフ氏の講習会ーその1−

実は今月は10日間程日本に帰っていました。というのは、東京でバロック・ヴァイオリンの製作・セットアッップについて講習会が開かれたからです。この講習会は代官山音楽院というところで行なわれたのですが私の友人が企画したのと講師にドミトリー・バディアロフ氏が来るというので参加することにしたのです(他にも飛行機のチケットをマイルでゲット出来たのも理由にあるのだが・・・)。
さて、この講師のバディアロフ氏は最近はヴィオロンチェッロ・ダ・スパッラ(肩掛けチェロ)の再現で日本でも話題になったとは思うが彼はS.クイケン率いる古楽オーケストララ・プティット・バンド(そしてその他)のメンバーであったり楽器製作だけでなくヴァイオリン奏者としても活躍するという人物です。だから、製作者としてではなく演奏者としての考えを聞けるだろうと期待していたのです。また彼は一時私の通うミラノ市立弦楽器製作学校にも籍を置いていて共通の知りあい(学校の先生とか)もいて面白い話もできるだろうと考えていました。
この講習会は3日間行なわれ(結局当初の予定とは変わったのだが)2日半が講習、半日が実際に楽器を使っての実習ということになりました。特に実習は私が1年半前に作ったバロック・ヴァイオリンを使って行なうことになり、直接楽器についてのアドヴァイスを貰う形になり大変有意義な内容でした。バディアロフ氏は3日中の1日を使って弦(もちろんガット弦)についての説明を行ないました。其の中で印象に残るお話を一つ。
今日、我々は楽器屋で「弦下さ〜い」とえがばピ○ストロ社やト○スティック社などの弦がほぼ均一な質を持っていて(巻き付けるペグを間違えなければ)何も考えずに楽器に張って使うことができるのですが、かつては太さや均一性にバラツキの大きい弦が何十本かの「束」売られていたそうで演奏者はそれらの中から自分気にいった(あるいは目的にあった)弦を選択して使わなくては行けなかったそうです。ということはヴァイオリニストは自分の演奏についてオーボエ奏者が自分のリードを自分で製作するかの如く「弦を選ぶ(そして必要に応じて手を加える)」ということから責任を持たなくてはいけなかった訳です。ガット弦と言ってもいろいろな種類があるし、その選択は自由ですが間違うと楽器が良く機能してくれません(今回の講習会前の私の楽器のように・・・)。バロック・ヴァイオリンを作るということは弦についての熟知していることの重要さがよ〜く解りました。僕も楽器を弾きますが改めて弦楽器について考え直す良い機会になりました。
# by shinop_milano | 2006-11-22 00:00 | 楽器製作

エスプレッソメーカー

引っ越しからおよそ3週間ほどになりようやく部屋も落ち着いてきました。思った以上に「家具備え付け」でないと言うのは面倒で予想以上に調理用具や家具など生活必需品の出費がかさんでしまいました。
d0079867_8472045.jpgそれでも今回是非ともと購入したのがこのBIALETTI社のスキューマー器付エスプレッソメーカー「Brikka」です。これは通常のガスコンロで使うエスプレッソメーカー(イタリアでは商品名だがモッカと呼ばれている)のコーヒー噴出口に「おもり」が付いていて蒸気圧を高くしてコーヒーを抽出する仕組みになっています。以前友人が持っているのをみて、欲しいっ〜と思っていた一品です。通常のモッカにくらべて「泡」も良く出て味も数倍よいです(けれども機械式に比べたらそれには及ばないというざるを得ない)。出来映えはこんな感じです。
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私が買ったのは2カップ用28ユーロのもので他には4カップ用というのもあります。それでもうまく作るにはいろいろコツがあり、エスプレッソを作るのも奥が深いものです。日本でも売っているのかな?コーヒー通の方はお試しあれ。
# by shinop_milano | 2006-11-07 09:05 | ミラノ生活

2回目の引っ越し

ミラノに来て2回目の引っ越しと相成りました。約1年半ルームシェアをして来ましたが、同居人との問題もあって引っ越しと相成りました。片方の同居人の言動に耐えられなくなったのが主な理由です。友人に聞きましたが、ルームシェアは相手を嫌いになる前に引っ越す、というのが賢い選択のようです。しかし、女の子2人とのルームシェアなんてよくこれだけ続いたものだなぁ、と我ながら思います。
今回の引っ越し先は実はマエストロ、パオラ・ヴェッキオの工房です。丁度引っ越しを決意したすぐ後に彼女の工房の1室が空くということで事情を説明して「住んでもいい?」と聞いてみたらOKの返事がもらえたのでした。当然、工房なので家具や調理器具は備え付けでないけど楽器製作道具は全部ある、ということで私としてはこれ以上無い物件です。今年はここでバシバシ楽器を作りたいと思います。がんばるぞ〜
# by shinop_milano | 2006-10-13 07:38 | ミラノ生活

中国製の粗目ヤスリ

数日前クレモナに住む友人から中国製の粗目ヤスリ(Raspa Cinese)を買った。クレモナの某有名店でも売っているらしいが彼は中国人からダイレクトに買ったと言う。
この粗目ヤスリことのほか良くキレる。一つ一つの歯を手作業で付けていてるらしく鋭い。そして使っている鉄も質が良さそうだ。彼が購入した中国人から聞くと「これは日本の爆弾から作った」という。d0079867_20101787.jpgなるほど、以前中国に行くと質のいい昔の鉄を使った金物が露店等安く売っているという話しを聞いたことがある。日本ではこのような道具は安く大量生産した鉄で同じく大量生産で作ってしまっている(それも中国製だったりするのだが)から本当にいい道具を手に入れるには値段が高いし何より探すのに苦労する。もし聞いた話しが本当なら、戦時中寺社から集められ仏像や鐘、家庭の鍋、薬缶だったかもしれないし、何より人の血と火薬を吸って今イタリアの日本人の手元にある。きっとこの中には沢山の人の想いや願い、憎しみと欲望が溶けているから良く切れるのではないかと考えてしまった。少し前に「レッド・ヴァイオリン」なる数奇なヴァイオリンを扱った映画があったが今ヴァイオリンを作る僕はその道具にもっとリアリティのある数奇さを感じている。思わずヤスリに手を合わせてしまった。
# by shinop_milano | 2006-09-17 20:23 | 楽器製作

ブリュッセルの楽器博物館

ヨーロッパの楽器博物館で5本の指に入る(と個人的には思う)のがここブリュッセルの楽器博物館。ここの博物館は収蔵品やその楽器修復活動やライブラリについてはもちろんのことアール・デコ式の建物もまたすばらしい。アール・ヌーボー&デコの街ブリュッセルでも一際かっこい建物である。そしてブリュッセルの山の手に建つこの建物は最上の6階レストランから街が一望出来る(ランチを食べたが味もなかなかでリーズナブルである、今日のランチ8.90ユーロ)。
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入場料は5.00ユーロであるが所蔵楽器についてのオーディオガイドは無料で貸し出してくれるので音楽・楽器関係の専門家以外でもかなり楽しめる(と思う)。一般観光的にもお勧めスポットである。

ここの博物館で目にして来た楽器を一部ご紹介しよう。

先ずは世界で唯一残っているガイゲンベルク。この博物館の名物である。
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これは一件離れてみるとチェンバロのようだが弦を弾くのではなく、ローターで弦を「こすって」音を出す仕組みになっている。そして、鍵盤でその擦る弦を操作するのである。プレトーリウスの『音楽大全』にも掲載されている一品である。ローター弦擦り系の楽器は中世のオルガニストィルムやハーディ・ガーディの延長線で開発されたと思われるが直ぐに廃れてしまったようである。


そして、フランドルといえばチェンバロ製作のルッカース・ファミリー。1619年製ヨハネス・ルッカースのヴァージナル付きチェンバロ。
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2段チェンバロのの構造の中に別のヴァアージナルが組込まれている。


マテオ・セラス(ヴェネツィア)のバロック・ギター。17世紀前半に作られた。
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現存する数少ないバロック・ギターのオリジナルのひとつ。他にもこの博物館にはセラスのテオルボを収蔵している。バロック期のイタリアで楽器生産も(そして音楽消費も)中心はヴェネツィアだがこの地で作られた現存するリュート、ギターは本当に数少ない。

続いてヨアヒム・ティールケ(ハンブルグ)の1701年製の装飾ヴィオラ・ダ・ガンバ
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まだ演奏可能の状態だそうである。シンプルな中の装飾がなかなか。

結局、ここで開館9:30から閉館17:00まで1日つぶしてしまった。でも時間が足らず結局はしょって見て回ることになってしまった。もう一度訪ねてみたい博物館である。

# by shinop_milano | 2006-08-22 20:20 | 楽器製作

ブルターニュでバロック弓の製作に行ってきました


フランスはブルターニュ、ディナンDinanに住む楽弓製作家Nelly Poidvanさんのところにバロックヴァイオリン弓の製作に行ってきました。8月のブルターニュは涼しく、いやむしろ寒く感じる程でした(日中でも20℃くらい、夜は10℃台前半に感じた日もあった)。
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今回は八角形スティックでフロッグをネジ可動出来るタイプのスネークウッドを使ったヴァイオリン用の弓製作に挑戦しました。8/13-19の6日間9:00-20:00くらいまで途中なが〜い昼食休憩を挟み僕を含む参加者3人でNellyさんに指導を受けました。使う道具や木工の基本技術は同じですが道具の仕立て方なども違い、ヴァイオリン作りとはちがったセンスも必要かなと感じいい経験になりました。何よりも他の人の工房に行くといろいろな発見・アイディアもあり刺激的な1週間でした。Nellyさんのチェックは厳しく特にスティックの「反り」についてはかなり時間をかけました。結局今回は完成までいかず(最終日は夜の3時までがんばったのですが・・・)ヘッド(弓の先)とスティックの仕上げが終わらず、また来るからその時仕上げよう、ということになりました。こんな感じでミラノに持って帰りました。
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参加期間中は一緒に参加した二人、Nellyさんの夫のOlivierさんと一緒に昼食、夕食を食べました。ブルターニュ名物のガレット(そば粉のクレープ)を用意して下さったりいろいろな家庭料理をごちそうになりました。何よりも、ブルターニュの歴史についてや音楽ダンスついても教えてもらい見識が広まりました。Olivierさんはコルナムーザ(バッグパアイプ)&フィドルの名手でよくお家で演奏していました。たまたま期間中にあった地元のフォークダンス会にだみんなで一緒に踊りにも行ったりもしました(この辺の恒例行事らしい)。私自身地元のバンドのひとたちの演奏にすっかりはまってしまった(頭の中からコルナムーザとフィドルの音が抜けない〜!)。ヨーロッパ文化のベースにあるもの強くを感じた1週間でした。
Dinanの街は中世の面影がよく残っておりとても落ち着いた奇麗な街でした。何よりも涼しいので夏いくのはお勧めです。今度いくときはゆっくり街歩きもしたいです。そしてフランス語ももっと覚えてから・・・

# by shinop_milano | 2006-08-19 20:20 | 楽器製作

日記用ブログを開始しました。

2005年末に中断したホームページですが、再スタートの準備ということで日記をブログに移転し再スタートすることにしました。この方が更新が楽だなぁ、なんて思って・・・
おもしろネタなどあったら順次投稿するのでご覧下さい。
# by shinop_milano | 2006-07-31 00:01 | ミラノ生活

はじめまして

かつてミラノで、今はモデナでヴァイオリンを製作しているしのっぷこと篠崎です。5年間のミラノ生活を経て2009年12月よりモデナで生活を始めました。ホームページ本館(現在休止中)に加えて主に日記を掲載するようブログを別館として始めました。度々お立ち寄り頂きミラノ&モデナ生活の様子をご覧下されば幸いです。

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プロフィール

篠崎 渡(しのざき わたる)
1973年生まれの丑年、蠍座、A型
上智大学理工学部を卒業後、会社員生活の傍ら楽器製作を始める。2004年ヴァイオリン製作の本場イタリアに渡ることを決意、同年9月ミラノ市立弦楽器製作学校弓奏弦楽器製作コースに入学、2008年同コースのディプロマを取得。2010年、同校の弦楽器修復コースのディプロマを取得。
マエストロPaola Vecchio、Luca Primonの元でヴァイオリン製作製作を、塗装技術をMarco Imer Piccinottiに師事。
2007年、第1回イタリア国内弦楽器製作コンクール(Concorso Nazionale di Liuteria)学生部門において製作したヴィオラが3位入賞。
2009年、モデナへ居を移し、ロレンツォ・フリニャーニの工房にて楽器製作、修理について研鑽を積む。
2010年10月日本に帰国、「篠崎バイオリン工房」を埼玉県滑川町にオープン。

355-0815埼玉県比企郡滑川町月の輪3−16−11
Tel. 0493-62-4929
Fax. 0493-62-1759
# by shinop_milano | 2006-07-31 00:00 | 自己紹介

「ミラノ的ヴァイオリン製作の部屋」改め。埼玉に活動の場を移したヴァイオリン屋の徒然日記


by shinop
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