ヴァイオリン工房は不思議の部屋 ★camera delle meraviglie★

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Giacomo BarozziとFétisの本

最近は既に絶版になった洋書が出たる書籍として復活し、それに併せてリアル書籍もリプリントしたり最近の研究の結果を盛込んだ注釈を加えながら出版されたりとたいへん良い時代になったと思いますなんかすごい年寄りみたいないいかただけど、情報の溢れ方は80〜90年代のそれとはまた違った感があります。

そこで最近買った本から2冊紹介。いずれもバイオリン屋がらみの書籍。
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最初はフランソワ-ヨセフ・フェティの「Notice of Anthony Stradivari: The Celebrated Violin Maker 」。1856年にフランス語で出版されたこの本は歴史的な弦楽器を語る本の中で度々引用されるもので、2005年に注釈を加えて出版されたものです。実際はデジタル化した副産物のようですが2000年代に入って行なわれた再研究の注釈なども加えられていて様々な伝説を誇張して表現することが許されていた時代の書籍を読み解くにはいいものだと思います。著者はパガニーニと同様にパリのヴァイオリンディーラー、ヴィヨームとつるんでいたようで同時代の作曲家、ヴィルトゥーゾ、音楽業界の背景を察するには今だから冷静に読めそうな一冊です。

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続いてはヴィニョーラのジャコモ・バロッツィ著「Canon of the Five Orders of Architecture」の英語訳。オリジナルのイタリア語版は1562年に出版されたましたが、これは1669年の英語訳です。ルネッサンス3大建築家の一人に数えられパッラーディオと並び称されるバロッツィはヴァイオリン業界では「ヴィニョーラの螺旋」で有名でヴァイオリンのスクロールのデザイン法の一つを紹介するときによく引用されます。この扉絵がそれです。ヴィニョーラはモデナの隣町の名前で今ではサクランボの産地として有名です。モデナに住んでいた時は自転車で出かけてサクランボ祭りを見に行ったっけ。
2010年にDoverから1669年の英語訳がリプリントで出る、はずだった。Amazonで出版前から予約していたのですが出版が延期になったようで発売が延び、さらに発売されたと思ったらすぐ売れ切れたようでなかなか手元に届かなかったのです。2010.05.08に予約した本書は約1年8ヶ月後、昨日ようやく届いたのでした。なのでこれから読みます。やれやれ。

いずれにしても過去の洋書がこんな簡単に手に入るようになり、これまでヴァイオリン業界に流布していた伝説のような逸話がどこから引用されて、真偽のほどがどうであるのかが読み解けるようになりました。正式な日本語訳は出版されていないので、いろいろなことが再検証される現代だからこそ私も鵜呑みにせず読み解く必要があると思っています。
by shinop_milano | 2012-01-31 21:21 | 篠崎バイオリン工房

今朝は寒かった・・・

今朝は今年一番の冷え込みだったようで、室内の温度計は朝この冬で一番低い温度を指していました。お昼を過ぎてもあまり気温が上がりません。こういう日はなるべくニカワを使った接着や塗装の作業はしたくないものです。
朝、庭にある水をたたえている庭石にはこんな氷が出来ていました。カエルくんは凍って医師になった訳ではありません。。。
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別の小さい滝を模している所はこんな感じです。いったいここはどこの山奥?って思われるかも。
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母、曰く畑のホウレンソウや白菜も地面が凍っていて穫るのに難儀したとか。まだ寒い日は続きそうです。
by shinop_milano | 2012-01-30 13:41 | 篠崎バイオリン工房

古いヴァイオリン2台がやってきた

工房に古いヴァイオリンが2台やってきました。

d0079867_1023072.jpgワレや大きな損傷はないので買い取って修理することにしました。
バスバーやネックのセットがイマイチなので表板を外して総レストアします。久しぶりにこの手の楽器の修復作業をするのでちょっと楽しみです。修復用のジグやツールなどは準備していないものもあるのでこれを期に用意しようとおもいます。
d0079867_10233159.jpg出自はどの辺か良くわかりませんが東欧チェコとかハンガリーの方かな?楽器の修理/修復の作業は楽器製作のインスピレーションにもなります。他の作業もしながらなのでどれくらいでレストアできるかわかりませんが経過と仕上がりは出来たらお知らせしたいと思います。
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by shinop_milano | 2012-01-27 10:35 | 篠崎バイオリン工房

新作ヴァイオリン塗装中

現在塗装中のヴァイオリンはもうすぐ完成。

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最近はオイルニスを使っての塗装を行なっていますが塗装方法もなれてきたので新手法を取り入れ赤い色のニスを作り塗っています。植物色素の抽出し媒染作業も伝統的な方法に従って行なってみました。材料を揃えたり、準備に手間がかかるのですが、料理と同じで作る度にすこ〜しづつ風合いが異なり手作り感、一品モノ感が高まる気がします。

今回製作したのは以前も作成したA.ポッラストリ モデルのヴァイオリンです。オリジナルはもっと濃く深い赤色ですが透明感を壊さないように仕上げています。いずれにしても塗装は毎回難しく「正解」というものはないのですが「いい感じ」を出すのは毎回四苦八苦です。

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by shinop_milano | 2012-01-20 16:37 | 篠崎バイオリン工房

20何年間積み立ててきて、初めてかなう夢もある

と、先週「スタジオパークからこんにちは」にゲスト出演した時のたまわれたデーモン小暮閣下。

NHK紅白歌合戦に出演した時よりもNHK大相撲中継の解説に初出演したときのほうが感激していたらしい。

20年以上前にオールナイトニッポンで彼の放送を聞きながら相撲ネタはよく飛び出してきていたので彼の相撲通は知っていたが、ご存知の通りおかたい角界と日本放送協会が彼をスタジオに呼んで解説をというのは当時だったらまったく考えられなかったことだと思う。容姿もさることながら年齢とかの理由もね。

今、自分もそう思う、20年考え続けてきてやっと実現しそうになってくるものがあることを。きっとあの頃電波を通じて悪魔教に影響されてしまったからかも知れないなぁ・・・
なので、また今彼の言葉にまた励まされた気がする。

デーモン閣下の素晴らしい悪魔性が感じられた、『スタパ』でのトーク
by shinop_milano | 2012-01-14 00:00 | 篠崎バイオリン工房

よき細工は、少し鈍き刀を使ふといふ。

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NHKの100分de名著の今月は兼好法師の『徒然草』。今月はパス、と思っていたがテキストを見るとなんと著者は僕が学生時代、有名予備校講師で名を馳せていた"古文のマドンナ"荻野文子さん。僕は古文は全然駄目で、というか興味が無かったしセンター試験レベルの学習で十分だったので彼女の講義とか参考書にはまったく目もくれなかった。今20年前嫌いだったモノを敢えて手に取ってみた。

それで彼女の説く『徒然草』を読むとなるほど吉田兼好の言葉は今その言いたいことが良くわかり頷くこと度々である。兼好は現代風に言えば鋭いコラムニストだ。このテキストもオススメです。

本題:
それでこれを紹介した友達から第229段の「よき細工は少し鈍き刀を使ふといふ。妙観が刀はいたく立たず。」についてどう思う?と尋ねられた。なるほど聞き覚えがあるぞ、中学(高校?)のとき教科書に出ていた一説だ。
これを思い出した時に、ハッとした。確かにそうかも。しかし学校で教わった解釈とはちょっと違う。

この段をちょっとググってみると、出てくる解釈は学校で習った時と同じだ。つまり、名工はキレ者だから鈍い刃物でバランスが取れる、というものだ。しかし、今の自分は同じく刃物を使って木を削る仕事を生業にしていてちょっと違うように思う。

ミラノにいたとき、パルマ弦楽器製作学校で教鞭をとるのレナート・スクロラヴェッツァ(今も現役の高齢の有名製作家)に教えを乞うていた友達が僕にこう漏らした。「学校のカンナは切れないので、カンナの刃を一生懸命研いでいたら怒られた。いつまでも刃を研いでいないで木をけずれ」と。
刃物は研いで良く切れないと確かによく削れない。なので研ぐことは常に必要だ。よく切れる刃物は作業が早い。しかし名匠はよく切れない刃を使ってとにかく削れ、といったという。

おそらく多くの楽器製作に従事する日本人はまず刃物の研ぎが完璧でなければいけない、という教えを受けてきたと思う。大工や宮大工などはもっと厳しい教えを受けているに違いない。その逆にイタリアで僕のまわりのイタリア人などは刃物の研ぎはいい加減な人が多かった(もちろんうまく研ぐ人ひともいる)。少なくとも研ぎの技術にこだわるのは一部のストイックな製作家たちだけだった。

しかしその反面、切れない刃物、いや研ぎのあまり巧くないヤツはそんな道具を使いながらも自分ながらに道具を使いこなして仕事をさっさとすすめる。なんでこう言う道具を使ってこういうやり方で良い結果がだせるのか疑問に思うこと度々であった。

そこでいろいろ考えた。そこで辿り着いた考えはおそらくイタリアで学んだ一番重要なことだ。それは、作品のイメージをしっかりもちそれに向って行動する、そして、それに至る方法は二の次でそれにとらわれてはいけない、ということ。刃物を巧く切れるように研げば仕事は楽だし作業はスマートだ。しかし、我々の最終アウトプットではない。研ぎ屋だったらそれが仕事だけどバイオリン屋はそうではない。

昨今、日本人は方法論や手段、道具にこだわり過ぎて自分の仕事の最終ヴィジョンがしっかりしていない場合が多いのに気付く。あるいは美しい方法にとらわれて何の為なのか目的を失う状況もあったりする。これでは創造的な作品/ミッションはこなせない。徒然草のこの一節は、匠こそは結果のよいイメージと実行能力をもっていてそれを実行するにはそこそこの環境があればできるんだよ、という風に僕は解釈したい。
もちろん、名工だって手に馴染んだよく切れる刃物や便利な道具があれば間違いなく使うと思うけどね。

兼好のセンス、あなどるべし。今の感性が受験時代にあったら文系に転じていたかも。
by shinop_milano | 2012-01-06 20:35 | 篠崎バイオリン工房

あけましておめでとうございます

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平穏無事に迎えた新年、と言いたいところですが同居の父母が暮れにインフルエンザにかかりあまり正月準備もしておらず何となく元旦を過ごしている次第です。昨年はたいへんな一年でしたが今年は明るいよい年になればよいかなと願っています。どうぞ今年もよろしくお願い致します。

今月で篠崎バイオリン工房はお陰さまでオープンから1年を迎える状況になります。当初はどうなることやらと思っていましたが、徐々に地域のお客様にご利用して頂いたりバイオリン、ギター製作者の方と知り合いながら楽器製作について新しいヴィジョンが出来てきたと思っています。今年はより一層発展できるようにがんばって行きたいともいます。目指すは製造&サービス業!

このブログはミラノ滞在時代から初めて今に至っています。日本の活動をそろそろ本格出発ということでタイトルを変更しリニューアルしたいと思います。今年も(は?)どうぞご期待ください。

追伸 写真のお持ちのような物はチロルチョコレートです。近くのローソンにてゲットしたかわいいアイテムです。
by shinop_milano | 2012-01-01 15:00 | 篠崎バイオリン工房

「ミラノ的ヴァイオリン製作の部屋」改め。埼玉に活動の場を移したヴァイオリン屋の徒然日記


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