ヴァイオリン工房は不思議の部屋 ★camera delle meraviglie★

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バンドソーが来た!

先週末に注文していたバンドソーが届いたと連絡があった。

楽器用材木を扱うこともあって、年明けに中型のバンドソー(帯鋸)を購入することを決めて購入の検討をすすめアメリカのメーカのバンドソーを購入することにした。このモデルを取り扱う業者にオーダーしたのだが在庫が丁度全部出てしまった、ということで2ヶ月入荷をまっていたのだ。
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今回購入したのはJET社のJWBS-18QTというモデル。最大切断高さ31cm、フトコロ幅18インチ(約46cm)ということでチェロ材の挽き割り回し切りも楽々である。挽き割りも、回し切りにも融通がきくのが嬉しい。削りくず処理のことも考えて集塵機も同時購入。篠崎バイオリン工房で初めて減価償却対象の固定資産購入となった。

昨日オーダーを入れた業者さんに赴き商品を受け取って、木枠の梱包を解き組み立て今日利用可能になった。試しにバイオリン用の横板の挽き割りを行ったが楽々に2mmの板を切り出すことができた。むっちゃ、便利や〜(なぜか関西弁)。もう手で切るのには戻れないなぁ〜、と思っちゃいます。

JET社のJWBS-18QTの特徴は歯を支えるベアリングが上下に6つ付いており、一番重要な歯の裏側のものは歯と同じ方向にまわるように付いている。ガイドのフェンスもしっかりしていて調整もらくだ。イタリアでもいろいろなモデルを使っていたがこれが一番使い易い(あたらしいからか?)

結構便利なのが歯のテンションを簡単にコントロールできるレバーが付いていることだ。バンドソーで歯は使うごとに張ったり緩めたりするのだが、毎回適切なテンションをキープするのは結構めんどうで煩わしい。このバンドソーはレバー一つで簡単にテンションを切り替えることができるのでべんりだ。実は今回オーダーしたのはこの機能のないモデルだったのだが、どうもメーカが一つ上のモデルを間違って送ってきてラッキーでこの機能を手に入れた。2ヶ月待った甲斐があったよ。

という訳で、楽器屋か木工マニアにしか面白みのないお話ですが、工房的にはとても嬉しい出来事です。
by shinop_milano | 2011-03-29 23:19 | 篠崎バイオリン工房

チェロ作っています

最近、具体的な工房のでの作業について書いていませんでしたが今チェロを作っています。
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地震関連で作業が遅れていたけどパーフリング(周辺部の象嵌)を入れています。
バイオリンやチェロの周辺にある「白黒の線」は、書いてある、と思っている方も多いようですがこれは白黒の線を、埋め込んで、作られています。

なぜそんな手間のかかることをするのかというのはよく話題になりますが、一般的には装飾的な美観のため(このように目で認識しやすい線があると実際の外形よりこちらを認識して全体的な外形を意識しやすくなります)とか、楽器を落とした時など楽器のふちに衝撃が加わった時に板にワレが広がるのを防ぐ実用的な目的のためとか言われています。けど、僕が考えるにもう一つ重要な意味があります。
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それは、板の周辺部をくりぬいておくことで板を振動し易くしている、ということです。
板の振動は中央部での振幅が一番大きいことになりますが、そのように良く振動させるにはには固定されている周辺が柔軟にうごいてくれることが重要になります。なのでこの部分に「溝」を掘って意図的に薄くしているのです。
しかし、溝で局所的に薄くしただけでは振動のエネルギーがここでロスしてしまうので「埋めもの(=パーフリング)」を入れて振動のエネルジーを一番端まで伝えるようにしている、という訳です。パーフリングは板の表面に対して垂直に入れます。ですから振動することによって生じる板の水平方向の伸縮を妨げること無くパーフリング自体も柔軟に伸縮して板の一番端まで振動を伝えます。

このシステムを考えた人はほんとうにすごい!ポスト=ルネッサンス期の楽器製作者たちの知恵だと思います。しかし、この3番目の理由について論じる人は多くないです、少なくとも日本では聞いたことがないなぁ・・・

ということで、パーフリングは美観的、保護的な理由に加えて音響的にもとても重要な要素であります。どれくらい掘るか、材料に何を使うか、どの辺に配置するかはよく考えて上手に入れて施しておかなくてはいけません。

というわけで、丁寧に溝を掘って「埋めもの」を入れています。パーフリング材とこれを埋めて接着した後はこんな感じです。ここから周辺部の「えぐり」を整形して全体のアーチを作っていきます。
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ここまで来ると楽しい作業が続くのでホッとする感じです。
by shinop_milano | 2011-03-22 12:14 | 篠崎バイオリン工房

震災について身近な海外からお便り

震災について国内のことはともかく海外、特にイタリアの友達の反応を紹介しよう。

まず、というかこれにつきるのだけど、かなりの人からもらった言葉:
-ウチには開いている部屋もあるし家族で避難してきても大丈夫よ。

原発の事情が理由で、在日の外国人にはそれぞれの国や会社から退去命令が出ていると彼らの国で報道されればそこの人たちはかなりの危機感を持って事態を受け止めるだろう。おそらく日本の東側に済む日本人だって西の方に避難した人もいるだろうし・・・

こちらとしては家族もいるし、親戚もいるし、生活に支障を来すほどの何もなかったらある程度の科学的な知識を持ちながらそういう行動に出るのは恥ずかしくも思うのですぐ彼らの申し出に、うん、とはいえない。それに命がけで作業をしている現場の作業員を信頼してあげないと助かるものも助からないよなぁ、なんて思えるし・・・

けれども彼らの心遣いにはとても嬉しく思うし、彼らに事態が起っているところ報道ではないところから声には彼らもとても関心が強いということが伝わってくる。
おそらく、どれだけ事態の状況が正確に、危機と安全について正しく知らされても各国政府や企業は駐在員の安全を優先するからそれは仕方ないと思う。今朝の報道ではリビアがかなり緊迫した状態になってしまったと聞いたが、海外での戦乱、暴動下では日本だって事態の大小を判断する前に同じ対応をする訳だから当然の反応だろう。

もう一つは、それに伴って届く日本人のメンタリティを賞賛する声である。
日本の報道でも紹介されているが、日本人というのはメンタリティについてけっこう評価されている国である。各国で報道されているのは災害状況だけでなく、そのことも大きく紹介され感心されている、おそらく日本国内で一般の人が知らされている以上に彼らは感心しているようだ。そのことは日本人はもっと自覚しておいてもいいと思う。

そして僕がこんな時に知恵を振り絞ること。
こういう時にどのように彼らに返答するかである。気持ちの表現、文章の書き方は日本人的マナーとは違うので彼らのマナーにあわせた手紙でも口頭でも返事をしてあげるのが親切に答える親切だと思っている。しかし、いざ日本で外国語や外国文化を学ぼうとこの点は疎かにされがちである。なぜなら、「学習」するというよりは「適応」しなくてはいけないからだ。日本的な謙虚、遠慮は表現として誤解を招くこともある。

日本でもTPOにかなった振る舞いが必要なのと同じでだ。これは実際にそのような場に立たないとわからない、しかし日本人に対して、とはとても状況が変わる。結局はこうしたところがコミュニケーション能力や人間力として重要で、グローバル化の現在としては当事者の技術力や能力よりも需要になってきているのではないかと思う。

な〜んて今まで考えていたことを、友人たちへの返信の合間に思い返し書いてしまいました。
これから海外へ学習にいったり、仕事をしに行く若い人たちには心に留めておいてほしいことです。
by shinop_milano | 2011-03-20 10:50 | 篠崎バイオリン工房

『ビューティフル・ドリーマー』

「なぁ面堂、夜の街っていうのはこんなに静かだったかなぁ・・・」

というようなセリフがアニメ映画『うる星やつら 2 ビューティフル・ドリーマー』のセリフがあったのを記憶している。人の夢を現実に構築する妖怪、夢邪鬼(むじゃき)が主人公たちをその作り上げた世界に引き込んでいるところのシーンで車の中で諸星あたるが面堂にいったセリフだ。

昨日は予定停電で自宅も工房も18:30〜22:00ちょっと前まで電気が消えた。早めの夕食直後に電気が消えた。その後は懐中電灯、ろうそくを使って部屋を照らしたが、同居の両親はすることも無くそうそうに床についた。僕はろうそくの明かりで本を読みはじめた。電気に比べたら全然くらいけど目が慣れてくると字は読める。しかも、目に優しい。ベートーヴェンが演奏会を企画するのに使うろうそくの注文書なんかが残っているとかきいたけどそんな時代もあったのだなぁ、と思いを馳せる。

しばらくして、寒いよるだったけど犬たちを連れて散歩に出た。街灯も消え、駅も消灯、電車も来ない、コンビニも暗い。明るいものは道路を通っていく車と何件かのお宅が蓄電式の常夜灯と、十三夜の月だけだ。月の明かりだけでもずいぶん明るい。なるほど月明かりというのは生活の一部だったのだ、また思いを馳せる。

そしてこのセリフが思い浮かんだ。夜の街、といっても埼玉の田舎の簡素な住宅地だけど、がこんなに静かでいつもと違った世界になるのかな、と思えたのです。それも非日常がもたらした錯覚かもしれないけど・・・
その反面、被災地は全く別の状態で悪夢が現実になってしまった。願わくばこの現実が夢邪鬼の作り上げた世界のようにどこかで崩れ落ちてくれればいいのに・・・

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このアニメは押井守の監督で今みても色あせていません。素晴らしいファンタジーの世界でありデカルト哲学的でもあります。彼の描いたラムにの夢の世界は(押井ワールドかもしれないけれど)震災の状況にも見て取れて考えさせられます。アニメファン以外も一度ご覧あれ。
by shinop_milano | 2011-03-18 20:00 | 篠崎バイオリン工房

地震の前に届いたもの

地震の起こる前日、その前の日にオーダーしたUV蛍光管が届いた。UV蛍光管はオイルニスの乾燥に使うのだが、あるバイオリン製作家から爬虫類飼育用のものが使えて安価で入手しやすいということで僕もこれをオーダーした。

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今どきは便利でこんなものでもAmazonで検索できて、そこに爬虫類飼育業者さんが商品を展示しているのを見つけた。値段は送料を含んでもお手頃だったので早速オーダーした。それが地震の前日に届いた。そのときはどこの業者さんが発送して届くのかわからなかった。

幸い地震で落ちて割れたりはしなかったのだが地震の起こった後はそれを確認するどころではなかったので昨日まで放っておいた。だが、昨日伝票を確認してみると発送元はなんと岩手県大船渡の業者さんだった。住所も書いてあったので確認してみたところ湾口の海岸に近いところだ。震災報道で大船渡の湾口も上空の写真などを写していたので地理感覚もおおよそ想像つく。おそらく津波の被害に遭われたものと思われる。
願わくば無事であってほしいものだ。無事であったのならば震災の直前に商品からがわずかながらでも現金に代えて上げられてよかった、と思いたい。些細な通販のやり取りですがそれでもどうか無事であってほしいと気になります。

埼玉は大きい被害も無く、多少なりとも買い占めが行われているくらいで被災地の人の様子を見る度にほんとうに心が痛む思いです。今はがんばってこの状況を乗り越えてください、と念を送るばかりです。
by shinop_milano | 2011-03-17 15:13 | 篠崎バイオリン工房

地震で揺れましたが私は大丈夫です。

ご存知のように東北地方で大きな地震が起こりました。
関東でも大きな揺れがおこりましたが、私の住む埼玉中部は余震が続くもののいまのところ大きな被害は出ていません。インターネットや電気も使えています。

多くの友達が海外にいるのでこの場を借りて無事を報告致します。が、北日本の沿岸部では津波による甚大な被害がでています。TVの放送でリアルタイムに映し出される映像を見るたびに心が痛む思いです。

通信、交通ともに首都圏ではたいへん混乱しています。東北地方の広範囲な地域では停電しているとのことです。

>海外のかたへ
NTTでは非常時の伝言電話サービスを行っています。家族の方がこのサービスを知っていて利用していたら状況が確認できるかもしれません。
(登録)171 1 (市外局番からの電話番号)
(聴取)171 2 (市外局番からの電話番号)

ドコモでは「iモード災害用伝言板サービス」を開始しています。ネットでも確認できるようです。
http://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/page/110311_01_m.html?ref=gp_top

再び大きな余震が起こることも考えられるので、工房と住居の防振対策を行います。日本に住む方もどうぞ気をつけてください。
by shinop_milano | 2011-03-11 17:56 | 篠崎バイオリン工房

メンデルスゾーンの『スコットランド』を弾く

もう先週の話になりますが、地元のアマオケの演奏会に参加しました。
この度参加したのは東松山市に本拠を置く比企(ひき)交響楽団です。やはり、強制的にでも楽器を弾く機会を作って行かないと演奏感覚が鈍ってゆくので参加を決めた次第です。土曜日の夜に練習というのも好都合でした。

今回の曲はメンデルスゾーンの交響曲『スコットランド』、グリーク『ピアノ協奏曲』、ウェーバー歌劇『オイリアンテ』序曲でした。1月から練習に参加していましたが、立場的にはエキストラさん状態です。ヴィオラを持ってオケに参加するのはほぼ1年半ぶりです(ミラノで大ケガしてからは初めてか?)。久しぶりにヴィオラを持ってみるとヴァイオリンより弾くのがたいへんなことを実感します。

イタリアにいる頃からさほど頻繁に弾く機会はなかったのでまあいいやと思って手を付けないでいたのですが、久しぶりに楽器を弾いてみると指板の摩耗が気になって弾きづらさを感じました。
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指板が減ってくるとポジション、音程も取りづらくなるので思い起こして指板を削り直した次第です。1月のお話です。前に指板の手入れをしたのは10年以上も前かな?忘却の彼方です。
削り直したあとがこれです。しっかり「溝」が取れ奇麗になっているでしょう?
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イタリアではずいぶんやったこの作業ですが、自分の楽器に行ったのは初めてです(笑)。やっぱり弾きやすいです。音程を合わせに行くのが楽になった気がします。

ということで、万全を期して(?)参加した2ヶ月のオケ活動再開状況でした。
演奏会はたくさんのお客さんが入ってくれて盛況でした(以前からの団員さん曰く)。自分としてはやっぱりしばらく弾いていなかった分を取り返すには努力が要るなぁ、と思った次第です。

来年はブラームスの交響曲4番を演奏するとのことでヴィオラパートにはとても楽しい曲です。引き続き比企交響楽団には参加します。ちなみに、只今ヴィオラパート3人につき、団員募集中です。

比企交響楽団のサイトはこちらです。
by shinop_milano | 2011-03-08 19:12 | 篠崎バイオリン工房

「ミラノ的ヴァイオリン製作の部屋」改め。埼玉に活動の場を移したヴァイオリン屋の徒然日記


by shinop
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