ヴァイオリン工房は不思議の部屋 ★camera delle meraviglie★

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今敏監督の死を悼む

アニメ監督の今敏氏が亡くなった。享年46歳、若すぎる。今年5月に末期の膵臓がんで余命宣告を受け8月の24日に他界した。残念だ。
代表作は『東京ゴッドファーザーズ』、『千年女優』、『パプリカ』など。一時期ネットで知り合った友達の間で話題になり彼の作品をみた。彼の経歴とか作風のくわしくはこちらとかこちらを読んで頂くとして僕が端的にその好きなところを述べれば夢と現実、時間と空間が交錯した映像のテクニック(これをもってフラクタル的というのかもしれない)、ストーリーやセリフのはしばしがよく練られていてちょっと演劇的なところ、かな。個人的には『千年女優』はとても感動した作品だ。『パプリカ』のように現実と夢の交錯を描いたアニメは僕にとっては小学生の頃に見た押井守の『うる星やるら2ビューティフルドリーマー』をはじめに見る度に現実逃避、というか不思議な世界に誘いつつ最後は現実に戻されて明日からまた現実の世界でがんばろうなどとも思わされてしまう。ともかく、かれの個性的な映像世界は面白かった。
彼のブログは死の直前まで書かれていて最後の挨拶は涙を誘うとともに人間の生死のありようをアニメ作品の世界ではなくもっとリアルところで見せられた気がする。手がけていた作品があったとのことだけど彼の新作が見られないのは残念です。ご冥福をお祈りします。合掌
by shinop_milano | 2010-08-31 22:00 | 雑記

引っ越し荷物搬出完了!

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日本に帰るにあたって大部分の引っ越し荷物は運送屋さんにたのんで日本に送りました。さすがに6年間生活しているとたまったものは結構な量でまず捨てるもの、日本にもって帰るもの、こちらで誰かにゆずるものなどの仕分けから始まった次第です。
今回の荷物の搬送はミラノで知り合った個人で引っ越し/物流の業務を行う豊田さんという人にお願いしたのですが、海外への物流についてはかなり詳しく引っ越しだけでなくたいへん勉強させてもらいました。という訳で、僕の日本への引っ越しは荷物を船便でまとめて別送品ということで日本に送る方法をとりました。約一月後に日本に荷物が着いて自分で港の保税倉庫に行き通関を行い荷物を引き取り自宅に運ぶと言うことになります。なるべく自分で作業を行ってお金をかけないやり方です。どうせ自分自身が日本に着いても時間はありますし。
それでもって、荷物をダンボールに詰めてパッキングしたのですが、船便だと体積勘定で運賃が決まる(つまりぴっちり詰めた方が安く上がる)のでなるべくコンパクトになるよう荷物をまとめ、不規則な物体にはダンボールを切って箱を作ったりと行った作業でした。そして最後にはすべての箱の中に何があるか通関の際に示す写真のようなパッキングリストを作り自分で価値付けをして書類を作ると言った感じです。とにかく細々したものがたくさんあったので思った以上にドキュメント作りに時間がかかりました。搬出の前日深夜までまとめていました〜。
荷物の搬出は8月25日にまずモデナの自分の部屋から搬出しクレモナに移動しての友達の家に置かせてもらっていた材木など大きな荷物の積み込みと言った手順でおこなったのですが、朝早くミラノを出発した業者さんのトラックが途中パンクして引き返すなどのハプニングはあったもののなんとか一日で作業を終えてほっとしました。ほんとにホッとしました。
これで残りのひと月はゆっくり過ごせるかな!?
by shinop_milano | 2010-08-25 20:00 | モデナ生活

モデナで超絶におしゃれな男

モデナの市内、歴史的中心地の真ん中に一件のメンズもののブティックがある。外からみると結構怪しい。いったい、何の店だ?と思われても間違いない。ここはファション・デザイナー、ガブリエッレ・パッシーニのお店。狭い店内にところ狭しといろいろなものがある。奇麗に飾ってある一般的なショウウィンドウとも店内とも違うがとても怪しい空間。
実は彼と知り合ったのはカメラマンの友達を通じてなのだけど、面白いから君と話が合うかも、ファッションに掛ける情熱は人一倍熱いおとこだ、などという。一応「職人」と呼ばれるような仕事だから会ってみようと2月くらいに店の戸を潜った。何着かジャケットなんかを試させてもらった。今度、一張羅を買う時はもう一回来てみようかなと思った。それで、先月の大阪の展示会にあわせて彼のところでジャケットを買った。
d0079867_5455847.jpgこのパッシーニ氏、実は結構今日本でウケているらしく今発売中の男性ファッション誌『LEON』2010年9月号でイタリアで最前線を走る4人の一人に数えられている。雑誌の中では「怪人」扱いだよ〜。自身がモデルとして自分のブランドを着こなした写真の雰囲気が確かにすごい。かっこいい、なんか変だけどなんかいい、というかんじ。ファッションの方には疎い僕なのでうまい言葉が浮かばないけど・・・。
カメラマンの友人から一冊同誌をもらって(写真を撮ったのは彼である)読んでみたけどこれを見ると如何にイタリアのちょいワルオヤジがどう”悪ふざけ”をしているか、観察できる。なろほど、イタリアの親父はこう分析できるのか・・・確かにこんなオヤジはかっこいい。僕も目指してみるか・・・!?
雑記をお求めが困難な方はこちらに編集部の方のブログがあるので読んでみては如何かな?
by shinop_milano | 2010-08-15 20:00 | モデナ生活

南チロル、Tonewoodsの森

今回南チロルに行った最大の目的、Bachmannの扱っている材木の森を見に行く、のレポート。
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Bachmannは今年冬に訪れた材木屋で僕もよく彼の材木を使っている。どちらかと言うとお友達に近い。それで夏になったらTonewoodsの森を見に行こうよ、ということで押し掛けたのである。トーンウッドとは楽器用材木のことである。前回マーラー作曲小屋を一緒に訪れた広瀬夫婦も一緒である。
Bachmannの住む南チロルAntholzの谷から車で30分くらい飛ばし北側斜面の谷沿い(ドロミーティ山塊の北端側に当たる)に入ってゆく。今回はいくつかある切り出しの候補地からその一つを案内してもらった。なんの変哲も無い観光ホテルの駐車場に車を停めて「じゃあこれから山に入るよ」と4人で出掛ける(Bachmannは左の大男)。
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山道を歩き続けるとここはシトカス・プルース(イタリア語名だとアベーテ・ロッソabete rossoという)の木がかなりの存在確立で生えている。モミとか他の針葉樹も目にするが一面アベーテ・ロッソ。「これって植林しているの?」と聞くと「いや、植林は一切していないだ。生えてきた木の間伐は行っているけどね」という。僕はてっきり植林をして丁寧に木を成長させているのかと思ったらそうではないらしい(そういう別のTonewoodsの森もあるのだ)。「だって小さい芽はもうあちこちに見えるだろ。ここは今年の冬に切ったところだけどもう芽が出てきている。」どうもアベーテ・ロッソは繁殖力は強いらしい。
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ということで山に生えている木は様々で僕が抱えられるような若い木もあれば、抱えきれないような大きな木もある(若いと言ってきっと僕よりはずっと年上なんだろうけど・・・)。ヴァイオリン用には丸太を中心から放射線状に切ってゆくので最低55cmの直径の丸太が必要だとのことである。ギター用はそれ以上に、チェロ用にはさらにそれより太い丸太が必要だ。
山道を進んでゆきBachmannが「おーい、こっちだ」と呼ぶ。参道を外れて道のない方を入ってゆくと一際目立つ気が立っている「これ、上を見てみろ」というとなんか表札がかかっている。どうも彼が予約済みの木らしい。
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高さ40mほどはあろうか。途中に節があったり先端の方は使えないだろうから全部の部分は使えないだろう。なるほど材木も質にこだわると値段が高くなるのが分る気がする。
木を切る時には山を管理しているお役所に届けを出しお金を払い切ってもいいよということになる。国有林もあれば個人の所有林もあるとのことである。しかし、斜面に生えている木などは生長によって木が倒れて周りの木に損害を与えないように間伐するらしいが、それでも木の生長に間伐作業は追いつかないらしい。材木は冬に入る前の木の生長が止まった頃に切られる。なので夏には木の伐採は行われていない(もっとも地元の人は観光業に従事しているのではないかと思うけど)。
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山にはたくさん木が生えているが上の写真のような大きくすっとした木はそんなに多くない。きっと200年くらいは軽く生長しているだろう。
このように山と木のレクチャーを受けて帰ることにした。それともう一つ山道で受けた別のレクチャー:左は毒キノコ。食べるとおウチに帰れないよ〜というしろもの(絵本に出てくる怪しいキノコのようだ)。右は天然のポルチーニ茸(しかもデカくてふとい、天然物は初めて見た)。おウチであぶって食べるとおいしいよ〜というしろもの。山歩きの副産物。
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by shinop_milano | 2010-08-13 00:00 | 楽器製作

ドッビアーコ/トプラッハのマーラー作曲小屋を訪ねる

アルトゥーロ・トスカニーニ続き偉大な指揮者の足跡第二弾、グスタフ・マーラー。
冬に訪れた南チロルの材木屋Bachmannの訪問に先立って、すぐ近くにあるドッビアーコ(ドイツ語名ではトプラッハ)にあるマーラーの夏の作曲小屋を訪ねた。ここで彼は後期の交響曲『大地の歌』、第九番、第十番を作曲している。今回はイタリアに遊びにきた音楽学者の広瀬大介氏とその奥様と一緒の旅程である。
ドッビアーコについてすぐ詳しい場所を把握していなかったので観光案内所による。マーラーの顔のデザインのポスターを見つけると夏は当地で「グスタフ・マーラー夏の音楽週間」なるものを行っているようである。マーラー様様の夏の避暑地の小さい町である。
窓口で場所を確認すると「この先を右に曲がって1.5kmくらい」とかいう。世に出回る著書のように僕らは「ドッビアーコ湖の湖畔」にあると認識していたので湖の方に向い車を走らせた。ついに湖につくもそのような案内も無い。どうも行き過ぎたようだ。天気もよいので湖で一休み。ちなみにドッビアーコ湖はドロミーティ山塊の北端に位置する水がとても冷たくきれいな湖でした。
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湖の端のレストランで昼食を済ませ作曲小屋探しに戻る。来た道を戻り注意深く標識などを案内があった!道を聞いた観光案内所からほんとにすぐの道を曲がれば良かったのだ。でも、これでは湖畔にあるとは言えない方向にあるぞ。先入観ゆえに騙されたようである。
しかし、これからがたいへんであった行く道はどれも山の方に向うが「作曲小屋」のようなものは見えない。通りがかりにあるホテル、レストランで道を尋ねて進んでゆくとエライ山道に入ってしまった。途中ぬかるみもありレンタルした普通車ではちょっと困難を覚えたがそれでも林道をゆく。さすが、マーラーこんなところを歩いて作曲小屋に通っていたのか?と思いつつ先を進むと視界が開けて駐車場らしきものとホテルのようなものが見えた。駐車場に車を停め建物を見るとGustav Mahler Stubeとあるではないか!やっと着いた。
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しかしどうも記憶にある「作曲小屋」のイメージとは違う。隣には何やら牧場のような家族連れの観光客が目立つ。その「牧場」の入り口でモギリをしていたここの経営者の子供に聞いてみると「この動物公園のなかだよ。チケットはそっちのバールで買ってね。」という。上の写真の建物は滞在するのに使っていて、作曲はそこから150m程はなれたところにある「小屋」で行っていたようである。
チケットを買って早速入場してみる。一人、4ユーロなり。個人経営の為か結構高いなぁ。早速「動物公園」に入場してみる。しかし、動物公園の中に存在するとは驚きの事実であった。入ってみると鹿は放し飼いだし豚やイノシシもいる。「牧場の香り」が漂い、動物の鳴き声が聞こえる。歩を進めるとついに我々は作曲小屋を見つけた!
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以前から写真で見て知っている作曲小屋だ。小屋の向こうでは豚が鳴き走り回っている。苦労してここまで来たのにこんな環境の中にあるのか、と思わず笑ってしまった(本当に)。
中に入ってみると壁にマーラーの写真や足跡を記したパネルが飾ってあり、来た人に何であるかはわかるようになっている。
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お世辞にも、きちんと、手入れさているとは言えない。むしろ粗末なメンテナンスを受けているようにも思えた。先のトスカニーニの生家とは正反対である(変に観光化されていないのはよいけれど)。我々が訪問している最中、ひとり老人がやってきた。ビデオカメラを携え中に入り感慨深く中を見渡している。我々よりもじっくりと見学している。その他には動物と遊びにきた子供連れの家族は誰もやってこない。マーラーは自分の墓碑に「記すのは自分の名前だけでいい。ここに来るものはここがどんな人物の墓であるか知っているであろうから」といって簡素な石碑を建てたがここも彼の音楽を愛好する聖地の一つであろう。
最後にマーラーここから眺めつつ作曲をこなしていた風景の写真をひとつ。
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この環境で後期の陰にこもった交響曲を書いていたかと思うと彼は自然への回帰願望(つまり、現実逃避)が強かったのかな〜と思われる。もう死んじゃうと分っていたろうしね。
by shinop_milano | 2010-08-06 04:14 | 雑記

「ミラノ的ヴァイオリン製作の部屋」改め。埼玉に活動の場を移したヴァイオリン屋の徒然日記


by shinop
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