黄金分割、ブロッコリ・ロマーニとヴァイオリン、またはフィボナッチの悪戯
そんなわけでにわかブロッコリファンになってしまった私が予々興味をもっていたのがブロッコリ・ロマーニ。これだ!
日本ではお目にかかったことが無いがミラノでは市場でよく売られている。名前は「ローマのブロッコリ」だけどミラノでも売っている。直感して、えっ、これ食べられるの?という様相である。だって、貝殻みたいだし、トゲトゲ、しかも緑色だよ。今までは手にする勇気がなかったがにわかブロッコリファンとしてとうとう勇気を出して市場買ってみた。
で、調理前にじっくり眺めてみて驚いた。こ、こ、こ、これはっ・・・!このブロッコリただ者ではない、なんと渦を巻いている!上から見たさ写真をお見せしよう。
それぞれの突起の部分が渦巻きを巻いているのである。まるでヴァイオリンの頭と同じだ。ここから数学的に考察してみよう。まずすぐに気づくブロッコリの中心に向って右回りの渦巻きを見てみよう。全部でいくつあるかな?このブロッコリちゃんについてはそれが13個(巻き)ある。しかし、よ〜く見てみるとこれとは逆の左巻きの渦巻きも確認できる。これは21巻きあるのが確認できる。
数学に詳しいひとはここで気づくかもしれない(本当に詳しい人はすでに先が読めてしまうかな)。そうこれは、フィボナッチ数列に出てくる数字である。フィボナッチ数列ー高校の数学で何となく出てくる不思議な名前の数列。1、1とはじまり2、3、5、8、13、21・・・とつづく数列、つまり前の二項を足して次の項をなすすうれつである。そしてこのフィボナッチ数列の隣り合う二項の比、つまり1/2、2/3、3/5、5/8、8/13、13/21・・・はある無理数に収束する。それが黄金分割比である。具体的には0.61803・・・=(√5−1)/2と言う数字である。建築や絵画の世界で美的なプロポーションを持たせるというこの比率は古来よりよく知られている。そして今もなおである。iPodの長辺と短辺の比もこれにかなっているのだ。
このブロッコリ・ロマーニの場合と似たようなケースは多々あり、松ぼっくりのカサ、ひまわりの種の配列、パイナップルの皮の模様も同じような比率のもとに「渦」を巻いています。これはなぜか?それは成長過程で効率よく細胞を増やし幾何学的に最も理にかなった成長をする為だと言われています。そしてそれが人間の目にも美しく映るようです。ヴァイオリンの渦巻きや本体のプロポーションなんかもこれを元にデザインしているんですよ。
なので一見なんの関係もないヴァイオリンとブロッコリですが、こんなところでつながっています。しかしこのブロッコリ、もっと驚くべきは小さいイボイボも同様に渦を巻いているんです。そうその小さい花弁はさらに子孫を繁栄させようと幾何学のルールをめいいっぱい駆使してこの形をなしているだ!