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ヴァイオリン工房は不思議の部屋 ★camera delle meraviglie★

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病室のBuon compagno

一般外科の病室は二人部屋だったので僕の隣にはいつも別の患者がいた。病室ではお互い体が不自由だと助けてくれたり、暇つぶしに世間話などをしたりするものです。部屋の移動やそれぞれの入退院のため度々入れ替わりがあったのだが僕の隣にいた3人を紹介。

一人目はアルフレッドさん、76歳。最初に一般外科病室に移った最初の部屋にいた方だ。
60歳で年金生活をする前まではトラックの運転手をしていたとのことでCorriere della Sera(ミラノにある新聞社の新聞)運送を主にやっていたらしい。なので雨の日も雪の日も濃霧の日も、しかも今のように高速道路が整備されていないころにも毎日トラックを走らせていたらしい。無事故無違反だったのを自慢にしていたが、定年してすぐに心臓動脈に問題があってバイパス手術を受けたとのこと。今回はその手術したバイパスが詰まってきたのか具合が悪く検査の為に入院しているとのことだった。15種類の薬を順番を間違えず朝夕に飲んでいるとのことだが、僕がいるときに看護士が薬の順番を間違って渡したらしく具合が悪くなり怒っていた。
ちなみにその脇で僕はCT、レントゲンの撮影にゆく前に閉じた肺の排液の管を看護士が開け忘れてものすごく呼吸が苦しくなった。看護士呼んで、なんかおかしいんだけど、と言っても見えるところを一通りチェックして、問題ないよ、といっていたのだが結局排液の管が折れたままでこれが悪さをしていたのがわかった。おい、しっかりしてくれよ、といいたかったがアルフレッドの場合をみても同様どうもイタリアでは全部他人任せというのはまずく自分でもちゃんとチェックしないと行けないらしい(日本の病院でも同じだろうけどね)。

二人目はジャンニ、34歳。僕が部屋を変更になってほぼ同時にやってきた。
入院の理由は昨年7月に結石で体に異変を覚えたがそのときは薬で何とかなったらしいが昨年11月になって結石がどうも膵臓のあたりを圧迫するらしく結局手術して取ることになったとのこと。手術はエンドスコープを使うので二泊三日の入院で済むようだ(僕の盲腸のときと同じパターン)。彼は未婚で入室のときにはお母さんにつれられてやってきてタリアにありがちなちょっとマザコン気味の様子と育ちの良さを見せていた。見た目同世代ということもあって話してみるとどうやらエンジニアということで元理科系の自分としては話しのきっかけがつかみやすかった。そんな彼だが一つ気になったのは彼の仕事の同僚が彼のお見舞いにやってくるとみんな深刻な顔つきと声のトーンが低いのだ。例えば「6月間の雇用は確保したけどその後は・・・」とか「ぼくもクリスマス開けには履歴書を送らないと・・・」という具合の話しが聞こえてくる。あとで彼に聞いてみたらなんと彼らはミラノ市内にあるリナーテ空港で働くアリタリア航空の社員であるという。話しを聞いて納得である。彼自身も例外でなくクリスマス休暇後は身の振り方を考えねばと言っていた。部外者としては新聞紙上でアリタリアがどうなるかいろいろ世間を賑わしているうちに組合の内部では社員リクルート先を検討したり色々動いていたらしい。この辺は日本の組合とずいぶん違うなぁ、と思った。もっとも組合の、システムや組織力が違うから納得だけど。
ともあれ彼は予定通り二泊三日で退院して行った。部屋を出るときにはメールアドレスの交換にも応じてくれて、退院後の検査のときにも僕の部屋に立ち寄ってくれる親切さを見せてくれた。

3人目はジュゼッペさん、67歳。
彼も結石の為入院だが今回は検査からということで手術の予定は未定だがおそらくジャンニと同様の手術を受けるだろうとのことだった。ちょっと頑固そうに見えるおじさんだった僕がまだまだ動くのに不自由な様子を見せるとがいろいろ気を使ってくれて親切な方だった。何でも定年前はENI(イタリアの石油会社)に勤めていてイタリア国内はくまなく営業で廻ったといっていた。今回は検査のため入院中は食事ができず、その反対に僕はずいぶん具合も良くなってきてとにかく食べて栄養取らねば、とばかりだったので食事の時はちょっと気兼ねしながら食べていたのでした(夜中にミカンを食べに部屋の外に行ったりしたりして)。彼はタイミングが悪かったようでクリスマス前に入院した為ドクターが少なかったのか検査の段取りが悪くすぐに手術と行かなかったようである。僕の退院の日にあさって手術できる(ドクターがいる)ならこのまま入院だが間が空くようなら一度家にかえるという状態だった。結局どうなったのだろう?

3人に共通して言えるのは僕の仕事がヴァイオリン作りだというと興味津々だったことである。日本人でもそうだがどうもイタリア人でも状況は同じである。そういう点においてはLiutaio(弦楽器職人)であることは便利だぁ、と再認識したのでした。
by shinop_milano | 2009-01-24 09:14 | ミラノ生活

「ミラノ的ヴァイオリン製作の部屋」改め。埼玉に活動の場を移したヴァイオリン屋の徒然日記


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