ヴァイオリン工房は不思議の部屋 ★camera delle meraviglie★

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最近の仕事より2013/04/09

新学期の開始に備えて出張営業だったりと外出の多かった一週間でした。そんななかで工房にやってきたヴァイオリンの仕立て直しの一コマです。

d0079867_137619.jpg60年代に東ドイツ(20台の若者にはピンと来ないかも知れないが)で作られたヴァイオリン。手工量産楽器の一つだけど材木の木取りや内部の作りなどしっかりしていて、現在同様に作られている楽器とはちがったクオリティがあります(ニスが硬いのがちょっと残念)。大きな損傷はないのだけれどちょっと指板の角度が低いのが今イチな点でした。

d0079867_1374588.jpgネックの付け根から指板の角度(プロジェクション)が低いと高さが適切な駒を設計できなり十分な楽器の鳴りが期待できません。駒に掛かる弦の角度が鈍角になるので十分な圧力がかからず、また駒の振動も小さくなってしまうからです。なので十分な高さを持った駒がセットできるようにネックの取り付け角度をちょっとだけ上げます。

d0079867_138253.jpgまず、表板をネック周辺から事上半身最大幅の部分くらいまで横板から剥がします。こうすると表板とネック+横板+裏板の部分が自由になります。ネックの底と表板の間に少ーしだけ隙間ができますがここに薄い板を詰めることでネックの角度を上げることができます。

d0079867_1382880.jpg0.2mmくらいの薄い板(というかかんなの削りくずみたいなものです)を詰めるだけで駒の高さを1〜2mmくらいは上げることができます。逆に言うと楽器のネックを新たに差し込む時は特に注意して正確な角度でセットできるように気を使います。

d0079867_1381455.jpgという訳で、ネック取り付け角度のテストを繰り返して接着してここは一段落の状態。挟んだ板はほとんど見えません。あとでニスのリタッチをしてほどこしてめでたしめでたしです。


ネック角度設定についてはこの楽器が作られた頃と現在とは様相が変わっているように感じます。最近は楽器の音量、レスポンスを上げる為に昔よりもさらに強い力を駒にかける傾向がさらに強まったと思います。おそらく19世紀や20世紀初頭の人たちが弾いていたのとは違う感覚で楽器を弾いていると思います。東ドイツのシャルプラッテン・レーベルから出ていたゲヴァントハウス管やドレスデンシュターツカペレの演奏を聴くと現在のオーケストラの音とは違った雰囲気があり、今回このような楽器を手に取って楽器のセットアップの状態からいろいろ想像が膨らみました。
by shinop_milano | 2013-04-09 22:00 | 篠崎バイオリン工房

「ミラノ的ヴァイオリン製作の部屋」改め。埼玉に活動の場を移したヴァイオリン屋の徒然日記


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