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ヴァイオリン工房は不思議の部屋 ★camera delle meraviglie★

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最近の仕事より2013/02/26

あっという間に過ぎようとしている2月ですが今週はメンテナンスのお仕事が続きました。

一昔前(15年くらい前)に比べて最近は世界的に楽器製作技術が向上して品質の高い楽器が増え多様に思います。弦楽器を演奏する人の増加、求められるクオリティ、製作技術の共有化や世界的な社会情勢の変化(世界中でヴァイオリンが製造されてきたという厳しい競争)などがその理由とおもいますが、裏を返すとかつて(私が学生だった頃)はイマイチと言える楽器が結構あって学校の部活などで使っていた「伝統ある楽器」には結構たいへんな楽器があったように記憶しています。

ヴァイオリンはまだいいにしても、ヴィオラやチェロは演奏人口が少なかったせいか楽器寸法が標準化していないせいか、「伝統ある楽器」がメンテナンスにやってくると頭を抱えることがあります。

最近の仕事より2013/02/26_d0079867_22365267.jpg例えばこんな例。小型のヴィイオラですがおそらくペグボックス周りは工場出荷状態なのですが、1弦から4弦までの幅がペグボックスの幅より明らかに広く弦がペグボックスに当たってしまいます。これだとペグボックスの壁が弦の振動を止めてしまいまたペグを回した時に弦の摩擦でスムーズにチューニングできず正確にチューニングするのが難しい状態です。弦の間隔も広いので小さめの指の人には二弦いっしょに押さえるような場合はちょっとたいへんです。

最近の仕事より2013/02/26_d0079867_22454432.jpgこのような場合はペグボックスを削って広げて、演奏するのは小柄な女子高生さんのようなので弦の間隔を少し狭めにセットするようナットを加工しました。加えてアドヴァイスをしますと、最近はヴィオラの弦も細めの弦が販売されているので初心者の方で演奏技術的に楽に弾けるようにしたいなら写真のような弦から別の弦に替えるのも勧めたりしています。

ヴィオラ、チェロの最近の弦は細く、強いテンションで張られるのを意図して開発されている傾向にあり、かつてガット弦や太めの金属弦しかなかった頃のセットアップでは弦間隔の取り方、指板の反りの付け方、駒のカーブが適していないケースが見受けられます。つまり、張っている弦にあわせて楽器をチューンナップができるということになります。
by shinop_milano | 2013-02-26 22:00 | 篠崎バイオリン工房

「ミラノ的ヴァイオリン製作の部屋」改め。埼玉に活動の場を移したヴァイオリン屋の徒然日記


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