ヴァイオリン工房は不思議の部屋 ★camera delle meraviglie★

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最近の仕事より

先週割れの修理を施した楽器の表板を戻しました。この楽器についてはネックの差し込み方に問題があってちょっと音のバランスが良くないようでした。

d0079867_23125253.jpgネックの差し込み角度(ネック・プロジェクションといったりします)は楽器に適切な駒と駒に掛かる弦の力を設計するのに重要な要素ですがしばしば修正が必要な時があります。この楽器は以前にもネックの角度を修正した跡があったのですが修理前はその為にネックが2mm程長くなっていました。ネックの長さは130mmが標準なのですが、±2.5mmかわると標準寸法の楽器に比べてポジションの取り方に差を感じたり、1-4弦の張力バランスが変わってきます。


d0079867_22573137.jpg今回は表板を外したのを機会に、またちょっと細めのネックだったので指板を交換してネックと指板の間に木を足してネックの角度を替えるのを所有者に提案しました。
指板を剥がして指板面に適度な厚さの板を張り合わせます。渦巻き側を薄く(ほとんど0mm)、本体側を2mmmmくらい残すように削ります。新しい指板を作ったら指板をネックに載せて適切な駒が作れるよう足した木を削ってネック・プロジェクションを調節します。


d0079867_23263474.jpgこんな感じに仕上がりました。カエデ材の杢もそこそこマッチして外観を損ねない仕事ができたと思います。
ネックはプレーヤーの手が当たる所で触って違和感があったり演奏に支障を来すようではダメなので結構正確な作業になります。既にあるものを壊さずに新しいものを付け加えたり調整してゆくのはゼロから楽器製作をするのとは違う感覚を要します。


d0079867_2326772.jpg楽器関係とは別の件でお客さんからちょっと変わった相談を頂きました。仕事で使っている某コンビニのコーヒーポッドの取っ手が壊れてしまった。それで、その修理を相談されたのですが状況をみたらどうも以前に壊れて修理されたようでそれがうまくなかった。使った接着剤がはみ出して可動部が動かず、断面がしっかりくっ付いていなかったので軽い衝撃で剥がれてしまったようです。ダメ元了解の上で修理を試みました。


d0079867_23385281.jpg先ず断面を奇麗に掃除してしっかり合致するようにします。断面にダボを入れて補強できるよう密着させながらピンバイスで孔を開けます。今回はφ3.0mmのカーボンファイバーを使いました(何でこんなモノがあるのかって話はバイオリン屋のひみつ♥)。
接着剤には前回話題にした二液混交のエポキシ樹脂で、断面がうまく合うようにクランプをかませダボ入れて接着します。矢印が今回挿入したダボです。


d0079867_2346745.jpg最後は接着剤がはみ出さないように注意しながら残った破損箇所をエポキシ樹脂で固めます。幸いにもこれでうまく行きました!いままで動かなかった所も動くようになりめでたしめでたし。

同じ断面の接着でもヴァイオリンの表板の方がより正確な作業を要求されるのを実感しました。この手の作業はヴァイオリンを相手に鍛えられたような気がします。
by shinop_milano | 2013-01-29 23:54 | 篠崎バイオリン工房

「ミラノ的ヴァイオリン製作の部屋」改め。埼玉に活動の場を移したヴァイオリン屋の徒然日記


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