【夏休み特別投稿】 弦楽器職人にどんな技術や知識が必要か?【その1】
学生さんたちは夏休みを半分終えてこなさなくていけない宿題や課題を持っている方たちも多いことでしょう。大人の方もお盆休みの最中で来週には心機一転現実に戻るころかと思います。いずれにしても夏休みというとそこで過ごした時間が次の季節への「こやし」となるような気がします。
そこで、そんな方たちに興味を持ってもらえるかどうかわかりませんが、西洋弦楽器の製作や修理/修復にかかわる仕事にはどんな勉強が必要かということなんかを知ってもらえればと思って筆を取ってみたいと思います。
このテーマはミラノにいるとき楽器製作を習ったルカ・プリモン(当時、ミラノの製作学校の教師をしていた)のお宅で製作家や弟子が集まって夕食をごちそうになったとき話題になりました。楽器職人というのはおそらく一般の人が思っているよりも多くのこと広範囲に勉強しなくては行けないよなぁ、ということで話が始まりどんな科目や技術が必要かということをプリモン氏が羅列し始めました。
その項目というのをまとめるとざっとこんな感じです。
だいたいはミラノ市立製作学校のカリキュラムに入っていることなのですが、実際のところはそれぞれの項目で楽器に特化したものを覚えていくことになります。普通の「楽器職人」ということなら木工、つまりどうにかして楽器として演奏できるものを作る、または用意するという「技術」だけで十分なのですがそれだけでは、「親方(マイスター、マエストロ)」であるには不足だといえます。つまり、深い知識や仕事に取り組む上での根拠(哲学と言えるかも知れない)、職業上のマナーや効率化術なども「自立した職人」としては必要だということになります。
日ごろ仕事、あるいは「テーマ」といえるかもしれない、に取り組んでいると新しい疑問や問題はどんどんやってきますし、解決していかねばなりません。それはどの職業についても同じだと思います。学校でこれだけ勉強したら大丈夫、というものはありません。問題や課題に取り組む時、それまでに蓄えてきた知識や技術、考え方を応用して行かなければなりません。
また、無駄に蓄積した知識(+α)は直接的にも、間接的にも結構思わぬところで役立つものです。
とうわけで、表にまとめた項目を何回かに分けて書きたいと思います。