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ドッビアーコ/トプラッハのマーラー作曲小屋を訪ねる

アルトゥーロ・トスカニーニ続き偉大な指揮者の足跡第二弾、グスタフ・マーラー。
冬に訪れた南チロルの材木屋Bachmannの訪問に先立って、すぐ近くにあるドッビアーコ(ドイツ語名ではトプラッハ)にあるマーラーの夏の作曲小屋を訪ねた。ここで彼は後期の交響曲『大地の歌』、第九番、第十番を作曲している。今回はイタリアに遊びにきた音楽学者の広瀬大介氏とその奥様と一緒の旅程である。
ドッビアーコについてすぐ詳しい場所を把握していなかったので観光案内所による。マーラーの顔のデザインのポスターを見つけると夏は当地で「グスタフ・マーラー夏の音楽週間」なるものを行っているようである。マーラー様様の夏の避暑地の小さい町である。
窓口で場所を確認すると「この先を右に曲がって1.5kmくらい」とかいう。世に出回る著書のように僕らは「ドッビアーコ湖の湖畔」にあると認識していたので湖の方に向い車を走らせた。ついに湖につくもそのような案内も無い。どうも行き過ぎたようだ。天気もよいので湖で一休み。ちなみにドッビアーコ湖はドロミーティ山塊の北端に位置する水がとても冷たくきれいな湖でした。
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湖の端のレストランで昼食を済ませ作曲小屋探しに戻る。来た道を戻り注意深く標識などを案内があった!道を聞いた観光案内所からほんとにすぐの道を曲がれば良かったのだ。でも、これでは湖畔にあるとは言えない方向にあるぞ。先入観ゆえに騙されたようである。
しかし、これからがたいへんであった行く道はどれも山の方に向うが「作曲小屋」のようなものは見えない。通りがかりにあるホテル、レストランで道を尋ねて進んでゆくとエライ山道に入ってしまった。途中ぬかるみもありレンタルした普通車ではちょっと困難を覚えたがそれでも林道をゆく。さすが、マーラーこんなところを歩いて作曲小屋に通っていたのか?と思いつつ先を進むと視界が開けて駐車場らしきものとホテルのようなものが見えた。駐車場に車を停め建物を見るとGustav Mahler Stubeとあるではないか!やっと着いた。
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しかしどうも記憶にある「作曲小屋」のイメージとは違う。隣には何やら牧場のような家族連れの観光客が目立つ。その「牧場」の入り口でモギリをしていたここの経営者の子供に聞いてみると「この動物公園のなかだよ。チケットはそっちのバールで買ってね。」という。上の写真の建物は滞在するのに使っていて、作曲はそこから150m程はなれたところにある「小屋」で行っていたようである。
チケットを買って早速入場してみる。一人、4ユーロなり。個人経営の為か結構高いなぁ。早速「動物公園」に入場してみる。しかし、動物公園の中に存在するとは驚きの事実であった。入ってみると鹿は放し飼いだし豚やイノシシもいる。「牧場の香り」が漂い、動物の鳴き声が聞こえる。歩を進めるとついに我々は作曲小屋を見つけた!
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以前から写真で見て知っている作曲小屋だ。小屋の向こうでは豚が鳴き走り回っている。苦労してここまで来たのにこんな環境の中にあるのか、と思わず笑ってしまった(本当に)。
中に入ってみると壁にマーラーの写真や足跡を記したパネルが飾ってあり、来た人に何であるかはわかるようになっている。
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お世辞にも、きちんと、手入れさているとは言えない。むしろ粗末なメンテナンスを受けているようにも思えた。先のトスカニーニの生家とは正反対である(変に観光化されていないのはよいけれど)。我々が訪問している最中、ひとり老人がやってきた。ビデオカメラを携え中に入り感慨深く中を見渡している。我々よりもじっくりと見学している。その他には動物と遊びにきた子供連れの家族は誰もやってこない。マーラーは自分の墓碑に「記すのは自分の名前だけでいい。ここに来るものはここがどんな人物の墓であるか知っているであろうから」といって簡素な石碑を建てたがここも彼の音楽を愛好する聖地の一つであろう。
最後にマーラーここから眺めつつ作曲をこなしていた風景の写真をひとつ。
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この環境で後期の陰にこもった交響曲を書いていたかと思うと彼は自然への回帰願望(つまり、現実逃避)が強かったのかな〜と思われる。もう死んじゃうと分っていたろうしね。
by shinop_milano | 2010-08-06 04:14 | 雑記

「ミラノ的ヴァイオリン製作の部屋」改め。埼玉に活動の場を移したヴァイオリン屋の徒然日記


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