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Liutaioの仕事を誉めてくれるのは誰か

詳伝社黄金文庫より出ている松浦昭次著『宮大工千年の「手と技」』を読み返していて、ああ、と唸らされる一文を再認識して投稿。同書の”宮大工の仕事を誉めてくれるのは誰か”より引用します。

宮大工と言うと、何かイメージがいいように思っている若い人もいるようですが、宮大工という仕事は派手なものではありません。むしろ、地味なものです。とくに私らのように文化財の保存修理を専門にしていると、自分ではいい仕事をしたと思っても、それを誉めてくれる人はそんなにいないと思ったほうがいいでしょう。
誉めてくれるのは、百年か二百年たって、次に保存修理をする時に、私らの仕事の様子を見る大工ぐらいのものです。だから、自己満足と言えば、自己満足。仕事がうまくいったかどうかの基準は世間の評判でほなくて、何百年も前の素晴らしい大工の腕に、自分がどこまで近づけたかということしかありません。少なくとも、それぐらいに思っていたはうが間違いがないと思います。


宮大工を楽器職人と比較したら正直なところ失礼も甚だしいですがこの松浦棟梁の意見は楽器作りにも当てはまるところが大きく納得してしまいます。今となっては文化財の寺社よりヴァイオリンの方が我々の身近であるかもしれませんし、楽器は有り難くもいい音がすれば演奏家が誉めてくれる分楽器職人の方が幸せであるかもしれません。木工の技術については求められる精度も質もちがうので(その点では宮大工さんに楽器職人は叶わないとおもう)ちょっと違うかもしれないがその仕事の”モノ”の良さ(音ではなく)を理解してくれるのは同業者だというのは同感です(特に修理したとき)。そしてその成果が自己満足であると言うのも事実かなと思います。
確かにモノ作りにおいて作品がどのようにそれがすばらしいのか、他と違うのか、どうあるべきなのかということはいろいろ見て触って比べてみないと一般的にはわからないと思います。ですから自分でモノの善し悪しを評価するには目を養わないといけないことになるでしょう。
この本において著者は行ってきた仕事の概要や使う道具、建築の様式、数学的な知識まで宮大工の概要を書いています。こうすることで彼らの仕事について”誉めてくれる”のが宮大工以外にも増えその建築/修復に対する認識を高めたいのではといういとが伺えます。ひいてはそれが彼らの、いや我々の文化を守るため、彼らの明日のオマンマを守るためと言うことになるでしょう。
楽器製作業界はそういう点をアピールする人が少なく、どうも一般の方達に我々がどこでどれだけ何をしているのかがよく理解してもらっていないように思えます。結構たくさんあるんですよ、本当は。そう思うとこれからは本業ではないにしても努力しなくてはいけないところかなと思います。

図らずも、読書感想文になったかな?
by shinop_milano | 2009-09-15 19:03 | 楽器製作

「ミラノ的ヴァイオリン製作の部屋」改め。埼玉に活動の場を移したヴァイオリン屋の徒然日記


by shinop
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